84.素直になれなくて,ごめん
投稿者 : imady投稿日:2007/01/27
おばあちゃんへ
おばあちゃん,ごめん。24年間一緒に生きてきたのにおばあちゃんが亡くなる5日前まで素直に「ありがとう」って言えなかった。息をするので精一杯なのに「ありがとう」て言ってくれてうれしかった。
お見舞いにもあまり行けなかった。「忙しい」ことを言い訳にしてた。本当はおばあちゃんの元気そうなのに余命がどんどん縮まる姿を見るのが辛かった。
癌と診断されて,1年半で亡くなった。あれから4か月たつけど,今でも時々涙が出てくる。実家に帰ればいつでもニコニコして「お帰り」って言ってくれた。なのに私は素直になれなくて「うん,ただいま」てつぶやくだけ。本当はうれしかった。ただ私がそこにいるだけでニコニコしてくれるおばあちゃんのことが。
どんなに私が素直になれなくても,おばあちゃんは全て見抜いていた。「頑張りやさんじゃけえ。ちゃんとご飯食べるんよ。しっかり寝るんよ。元気が一番じゃけえ」
夏の暑い日,お見舞いに行った時に帰り際に私におばあちゃんが言った。これがおばあちゃんと話した最後になった。その時でさえ「ありがとう」て言えなかった。
ありがとう,おばあちゃん。子どもの頃おばあちゃんと一緒に畑に行ったこと,一緒にお風呂に入ったこと,一緒に寝たこと,盆踊りを教えてくれたこと…いろんなことがあったけど,もう思い出せないや。おばあちゃんのこと,等身大でしか思い出せないや。でっかいおばあちゃんだった。
ねえ,おばあちゃん。ありがとう。いつも気にかけてくれてありがとう。素直になれなくても受け止め続けてくれてありがとう。「お帰り」て言ってくれてありがとう。今度は「ただいま」て笑顔で玄関をくぐることにするよ。教えてくれてありがとう。